お前もよく勉強するが、今後今までのような貧乏生活を続けていては仕方がない。いかに学者でも、まず優に独立生活が出来るだけの財産をこしらえなければ駄目だ。そうしなければ常に金のために自由を制せられ、心にもない屈従を強いられることとなる。学者の権威も何もあったものではない。国へ帰ったらその辺のことからぜひしっかりと努力してかかることだ。 【覚書き|この話を贈られた日本人貧乏学生の本多静六はのちに東大教授となる。そして林学の大学教授という人気のない薄給の職業で億万長者となる。さらに、一生涯自分がしたい研究を行い、誰からも制限されることなく学究と後進教育の日々生きた。】 (ルヨ・ブレンタノ、明治時代のミュンヘン大学経済学教授、労働経済論などの著書がある)
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