人を鍛えるという意味では、いまも厳しいですね。人を大事にするということはつまり鍛えるということなんです。厳しく鍛えると、諦めることをしなくなります。粘り強くなります。ある大阪のデパートの外商を担当した時のことですが、目標が達成できるまで戻ってくるなと言われて、夜になっても会社のドアを開けてもらえなかったことがありました。課長がドアの横についている小窓から目だけ覗かせて、「どうやった?目標行ったか?」と聞くんです。「あきませんでした」と言うと、「あかん。もう一回行って頑張ってこい」と送り出される。結局なかなか注文は取れなかったけど、そうやって上司に鍛えられたんです。 【前田新造、まえだ・しんぞう。資生堂社長】
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