座右の銘というほどでもありませんが、私の好きな言葉に「水は科(か)に満ちて流る」という言葉があります。私が大蔵省にいたころに、鎌倉の円覚寺の故朝比奈老師から私の家内が頂いてきた、その著「佛心」という本の中に出ていた言葉です。水は常に淡々と低きにつくという自然の摂理に従って流れていく。決して逆行はしない。そしてもし、穴やくぼみがあればまずそれを満たす。決して飛び越えたりしない。穴やくぼみがいっぱいになれば、また淡々と流れ始める。 【石野信一、いしの・しんいち。太陽神戸銀行取締役。明治45年生まれ。東大法学部卒。大蔵省入省後、銀行局長、主計局長を経て大蔵事務次官に。その後、神戸銀行入行。太陽銀行との合併を成功に導き、頭取に就任】
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