会社の社是に「独自の製品を供給して文化の発展に貢献」とあります。独自の製品を提供しようというのは、創業者以来の会社の理念であって、なぜ創業者がそれを言い出したかというと、祖父の時代には、村田製陶というのが陶器屋さんの下請けをやっていて、こういう蓋を作っていたわけですね。それで、家人の手伝いをしていた私の父は、もっと販路を広げたいと考えました。それを祖父に進言したところ、販路を広げるということは、自分の同業であるお客さんのところへ商品を持ち込んで価格競争をすることである。そうしたら相手に迷惑がかかるし、自分のところも安く売らねばならない。そんな人に迷惑がかかるようなことはしてはいけないと言われたというんです。それで困って思いついたのが違うものだったら競争にはならないのではないかということなんです。 【村田泰隆、むらた・やすたか。村田製作所社長】
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